当院での検査の目的と基本的方針
病気の診断のための検査
診断のために各種の検査が駆使されるようになった現代でも、的確な病歴(病状経過)聴取と診察のみで 病気の70~80%は診断可能と言われています。
診断の確かさを高めるためには最小限の検査は必要ですが、検査に頼り過ぎない日常診療を心がけることこそ本来あるべきクリニックの役割と考え、その質の向上をめざします。
ありふれた病気や軽微な症候の場合、多くは検査を必要とせず70~80%の確かさを根拠として治療し、これで治癒に至ります。
また、すぐ問題が解決せず病状が長引くような場合でも、クリニック内の必要最小限の検査により診断の確かさを高め、適切な治療で完結することがほとんどです。
病院では軽い病気でも初めから網羅的に検査をする必要があり小回りが効きにくいのですが、このように病状に応じて段階的な診療が可能なのは、地域で診る私たち開業医のメリットだと思います。
当然ながら、クリニックで完結しない、より専門的な検査・治療が必要な場合は、専門医や高度医療病院へのご紹介となります。
慢性疾患の医学管理のために定期的な通院が必要な場合の検査
より良い予後のために適切な治療が維持できているか定期的に確認する目的で、治療効果と副作用のモニタリングの検査を1ヶ月に1回、3ヶ月間隔、半年間隔、1年に1回と計画的に実施する必要があります。
また、トータルヘルスケアのために年1回の総合的健診も必要です。
年に1度の定期健診や人間ドックを受けたかどうかは必ず確認しており、その機会がない方には当院で計画するように配慮しています。
具体的な院内検査
- 尿検査
- 便潜血検査
- 血液検査
- レントゲン検査
- 超音波検査
(頸動脈・心臓・腹部・甲状腺など) - 上部消化管内視鏡検査
(食道・胃・十二指腸内視鏡) - 心電図検査
- 呼吸機能検査(スパイロ)
- 呼気CO測定
- パルスオキシメーター
- 簡易型終夜睡眠検査(簡易型PSG)
- 24時間ホルター心電図検査
- 細菌・ウィルス迅速検査
尿検査
尿一般検査とは、試験紙を用いて、尿中に存在するたんぱく質、糖、潜血などにより身体の健康状態を検査します。
主に、腎臓系や尿路系の疾患を発見するのが目的ですが、これらの結果から糖尿病や肝臓病、膠原病や骨髄腫、がんなどの発見につながることもあります。
必要があれば、尿を遠心分離器にかけて沈殿してくる沈渣を顕微鏡で調べます。
当院ではとくに膀胱炎を主とする尿路感染症の診断に役立っています。
便潜血検査
消化管のどこかで管腔側(内側)から出血すると便の中に血液が混入しますが、出血が少量の場合には肉眼的な変化に乏しく(潜血便)、便の潜血反応を行うことで消化管出血の有無を診断します。
ポリープやがんの場合はある程度大きくないと陽性になりません。
そのほか炎症性の腸疾患や痔核や裂肛などの肛門の病気でも陽性となります。陽性の場合でも、約半数の人には大腸に病気がありませんし、精密検査の結果、大腸がんと診断される人は0.1~3%であり、そのうち約半数が早期がんです。
自覚症状がなくて検診で発見された大腸がんは治る率が高いので、便潜血検査が陽性にでたからといって不安に思うことなく、精密検査をぜひ受けましょう。
血液検査
血球算定
血小板数も測定可能であり、血液疾患全般の診断、肝硬変の経過モニターなどには欠かすことが出来ません。
血糖、ヘモグロビンA1c
診察のたびに必須の検査であり、そのデータから即座に臨床的判断が必要となるため迅速に結果がわかるようにしています。
CRP
体の中で炎症が起こったり、急速に組織が破壊される時に血液中に増えてくるタンパク質の一種です。当院では抗生剤の投与の適否、抗生剤投与継続のモニターに役立てることが多い、これも迅速に結果が出る検査です。
血清・生化学検査
肝機能、腎機能、脂質、総タンパク、タンパク分画などが普段することが多い検査項目です。必要に応じて、その他数多くある検査項目の中から診断のために適切な項目を選択してオーダーしています。
レントゲン検査
デジタルX線画像診断システムを導入しています。レントゲン室で撮影されたレントゲンのデジタルデータが診察室のモニターに送られます。従来のアナログX線画像と比べると、画像が美しく鮮明で診断精度が向上しました。
撮り直しが必要なくなり、現像による廃液もなく、人と環境に優しいことが大きなメリットです。
超音波検査(頸動脈・心臓・腹部・甲状腺など)
体の表面から人の耳には聞こえない超音波を当て、体内の組織にぶつかってはね返ってきたエコー(こだま)を画像に映し出す検査で、エコー検査とも呼びます。
痛みはほとんどありません。放射線の問題もなく、繰り返し行うことができる検査です。
腹部エコー検査
主に肝臓、膵臓、腎臓、脾臓、胆嚢、膀胱などを見ます。脂肪肝や胆石、腎結石、ガンなどの病気が分かります。
心エコー検査
心臓の大きさ、動き、弁の状態などを観察します。心筋梗塞や心臓肥大、弁膜症、先天性心疾患などがわかります。
頸動脈エコー検査
動脈硬化の評価や脳梗塞の原因となる血栓の存在などについて調べます。高脂血症、糖尿病、高血圧などの方たちに有益な検査です。
甲状腺エコー検査
甲状腺が大きくなっていないか、ガンなどがないか調べます。
上部消化管内視鏡検査(食道・胃・十二指腸内視鏡)
当院では主に経鼻内視鏡を行っています。
内視鏡を鼻から入れ、食道〜胃〜十二指腸を観察します。異常が有れば組織を採取し (生検) 、顕微鏡で悪性か否かの診断を行います。
2013年2月21日から慢性胃炎でもピロリ菌の除菌療法が保険適応になりました。
ただし、この内視鏡検査で診断することが必須となっています。
心電図検査
不整脈や狭心症、心筋梗塞、心臓肥大などの心臓病の診断に用います。
動悸、息切れ、脈の乱れ、胸痛などの症状の方に有益な検査です。
呼吸機能検査(スパイロ)
肺の大きさ、気管や気管支の狭窄の有無などを調べる検査です。
気管支喘息や肺気腫、間質性肺炎などの肺疾患の診断や評価に役立ちます。
呼気CO測定
タバコの煙の中には様々な有害物質が含まれています。
その中の一つである一酸化炭素が、吐き出した息の中にどれだけ含まれているか調べる検査です。
禁煙の管理に役立ちます。
パルスオキシメーター
こちらを参考にしてください。
簡易型終夜睡眠検査(簡易型PSG)
睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査です。
寝ている間の無呼吸の回数や、いびき、血中の酸素濃度を記録するもので、ご自宅に機械を持ち帰っていただき、検査をすることができます。
検査は一晩中行います。
24時間ホルター心電図検査
ホルター心電図検査では携帯用の小型心電計を用いて、長時間(24時間)にわたり心電図を記録します。
この心電図の解析を通して日常生活における心臓の動き(拍動)を調べ、異常がないかを検査します。
以下のような疾患を調べることができます。
- 不整脈
- 狭心症 など
細菌・ウィルス迅速検査
- インフルエンザ
- マイコプラズマ
- 溶連菌
- ロタ など
病診連携で予約する検査について
当院では対応できない検査の場合、連携する近隣の病院に検査を依頼し、病診連携がスムーズにいくように配慮しています。
各種健診
予防医学のページを参考にしてください。